街のはなし N35°34’40.10″ E139°33’29.74”

N35°34’40.10″ E139°33’29.74”

 

わたし自身は看護師なんですね、この地域で27年くらい看護師をしています。
わたしは昔の駅のロータリーが、もう大好きだったんですよ。ロータリーのまわりはとても雰囲気があってすごく素敵で、あのなんかまったりしてるっていうのかな、すごくお洒落で静かで。ほんと洒落てましたね、緑もあって。池も良かったですね。とても素敵だなーとおもっていたの、覚えてます。あ、そうだロータリーがあって、スイミング教室がちょっと右っかわにあったんですよね。
なので実はわたしは今の駅になってがっかりした組のひとりなんです。でも何年かしてみて、駅前のスペースのあのひろさや人が行き交う風景が好きになりました。いろんな人が行き来して、それこそ小さいお子さんから高齢の方、障がいのある方、みなさんがこう自由に行き交って、いろんな人が会話できる場所になっていろんなイベントもされてるし。いまはわたしはたまプラーザのなかでは駅前の広場がとても好きですね。なんか素敵です。そしてわたしたちの仕事柄、困ってる人がいないかとか、認知症の人が歩いていないかを見にいくときに駅前広場はとてもありがたい場所なんです。しかも派出所があるんですよね、それがすごくありがたくて。認知症のある方に派出所をしっかり教えると、そこが経由地みたいになって生活ができるようになります。それが安心の提供になるんですよね。そして座ってちょっと食べたりすることができる場所もあって、ご高齢の方達はあの場所をとても気に入ってますね。
でも街全体がすごくかわってしまって。いまはほんとうに風景がちがいますね。むかしはいまちょうど全部マンションになっている美しが丘二丁目のあたりは山で、それこそ蛍もいました、うぐいすもいました。沢があったんですよ、川があって沢があって、水が綺麗で、田んぼでしたからね、ぜんぶ。田植えもしてました。まったくなくなりましたね、全部マンションになりましたね。もうぜんぜんないですよね、自然。小鳥もね、ほんっとにいろんな小鳥がきてました。綺麗な可愛らしい小鳥が。もうそれはそれは、子どもたちはほんとうに川や田んぼや、泥だらけになって遊びました。でもそうね、考えたら25年くらい前のはなしだもの、そんな昔のはなしじゃないわよね。公園内や街なかに緑自体はたくさんありますけど、あのほんとうの自然、そういうものはほとんどなくなっちゃいましたね。のこしておけなかったのかしら、つくれるものじゃないからね。

 

写真/文:谷山恭子   編集・校正:谷山恭子/藤井本子   

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