街のはなし N35°35’08.15” E139°33’21.80”

うちの近所に階段があって、そこからずーっと西に風景がひろがるんですね。

僕がこの街のなかでひとつ好きな風景っていうのは、その階段からの風景です。そこから夕日がよくみえるんですよ。階段にね、腰掛けたりして。ときどき近所の子がカップルではなしてたりして。大山とか丹沢の山並みが見えて、その上にちょこっとトップだけ富士山が頭をだしてる。そしてお天気がいいときは、よく見ると甲府盆地のさきの南アルプスの山々まで見える。標高の高い山は晩秋ぐらいから白く雪かぶるでしょう?で、それがずーっと遠くのほうに見えるんです。その階段の道のもう一本うら側の道、実はそこが横浜と川崎の市境になるんですが、ちょうどそこが尾根道なんですよ。だからこのあたりがいちばん高くていちばん見晴らしが良いところなんですね。南のほうはみなとみらいのランドマークタワーのほうまで見えて、そして東を見渡すと西新宿とかの超高層群とかもけっこう見えますね。ぱっとね、風景がひろがるんですね、そのあたりから。

標高?たいしたことないとおもうでしょ?でもねけっこうあるんですよ。実は駅からだとね、40メートルくらいあがるんですね。ていうことは12階建てぐらいのビルを下から上まであがるようなかんじなんですね。冬、駅の周辺の雪の状況とうちのあたりの雪って全然ちがうんですよ。うちのほうは明らかにおおいんですね。駅から坂を登ってくると、途中からいっきにふえはじめるんですね、雪が。それに気づいたときはすごく新鮮でした。

僕はもともと育ったのが神奈川県の茅ヶ崎っていうとこなんですね。海のそばってわけではないけどそこで育って、たとえば海岸線にでるとズバーってむこうまでひらけてるでしょ。そういうのがとっても好きというか、僕にとっては大事で、街なかに住んでなんかこう囲まれてる感じは、ちょっとやだなーと思ってたんですね、でもここは地形的にひらけてて、ワーッと視界がひろがるので、なんかすごく納得したというか、それにすごくいろんな自然がのこっているのに、でも街的な要素もある。すごくいいバランスだなぁとおもいます。

 

写真/文:谷山恭子   編集・校正:谷山恭子/藤井本子